レールが3本?日本に現存する”三線軌条”4か所すべて紹介

青森

こんにちは、てりーぬです。

今回は「特殊な線路の幅」についてお話したいと思います!

線路の幅は日本全国どこでも同じという訳ではなく、路線ごとに少しずつ異なっています。日本には主に4種類の幅があり、最も多く採用されている「狭軌(1,067mm)」と、新幹線などに使われている「標準軌(1,435mm)」の2種類が大半を占めています。

線路の幅について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

今回はその中でも非常に特殊な事例、レールが3本並ぶ「三線軌条」について紹介したいと思います。現在、日本で「三線軌条」を見ることができるのはたったの4か所しかありません。実際に現地へ訪れて撮影した写真とともに、4か所すべてをお見せします!

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“三線軌条”とは?

「線路の幅は路線ごとに違う」と言いましたが、基本的には車輪の幅が線路の幅と異なる車両はその路線に乗り入れることができません。しかし、どうしても同じ線路に違う幅の列車を通したい!という場合に、1つの線路に2種類の幅を作って無理やり通れるようにしたものが「三線軌条」という線路です。

つまり、通常2本のところに3本のレールが並び、片方は共有して、もう片方を狭い幅と広い幅で使い分けるという感じです。日本にあるのは「標準軌」と「狭軌」の組み合わせのみで、この写真でも広いほうが「標準軌」、狭いほうが「狭軌」となっています。

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北海道新幹線:青函トンネル内

最初に紹介する区間は、津軽海峡の下を通って北海道と本州を結ぶ、「世界最長の海底トンネル」である青函トンネルの中にあります。2016年の北海道新幹線の開通とともにできた新しいスポットで、従来の狭軌の在来線に加えて新幹線も走れるように標準軌を付け加えて「三線軌条」としました。

しかし、現在青函トンネルを走れるのは新幹線と貨物列車、わずかな臨時列車のみで、在来線の定期列車は運用上の理由ですべて廃止されてしまいました。かつては「カシオペア」や「トワイライトエクスプレス」など、北海道と本州を往来するたくさんの寝台特急が運行されていたのですが、一度も乗れずに終わってしまったので寂しい限りです。

三線軌条はほとんどの区間がトンネル内なのでちゃんと目視することはできないのですが、「奥津軽いまべつ駅」では少しだけ三線軌条の線路を見ることができました。

新幹線の駅だというのにこの何もなさ。Wikipediaによると、日本の新幹線駅で最も乗車人数が少ないらしい。そりゃそうでしょう。。北海道新幹線はこれで大丈夫なのか??

2018年度(平成30年度)の1日平均乗車人員は28人である。これは日本全国の新幹線の駅で最も乗車人員が少ない(次点は木古内駅)。

ちなみに左側の暗い線路は「津軽線」という在来線で、オレンジ色の建物の前に「津軽二股駅」があります。新幹線と乗り換えができる位置にあるにも関わらず、厳密にはなぜか別の駅扱いに。

北海道新幹線の車内では、青函トンネルに差し掛かると車内の電光掲示板で教えてくれます。トンネルの中なので当然周りの景色が見える訳ではなく、「ちょうど今海の下にいるんだ!」という実感は全く湧きませんでした(笑)

秋田新幹線:神宮寺駅 – 峰吉川駅

続いての秋田新幹線は、元々在来線用(狭軌)の線路を標準軌に変えて新幹線が走れるようにしたもので、新幹線が在来線の路線に乗り入れるミニ新幹線。秋田-大曲駅間の大部分で複線の線路の片側を新幹線、もう片側を在来線が走るようになっており、新幹線と在来線の車両がすれ違う、「同じ方向を向いて並走」するといった珍しい光景が見れます。

ただこのままだと単線が2本並んでいるのと同じなので、新幹線同士のすれ違いはできません。そこで、「神宮寺-峰吉川駅」の2駅間だけは片側が新幹線用の標準軌、もう片側が新幹線と在来線で併用する「三線軌条」とすることで、新幹線がすれ違うことが可能になりました。

E6系「こまち号」の流線的でかっこいい新幹線車両が、ごく普通の平面駅にいるのはとても不思議な感覚がします。秋田新幹線内ではそれほど速度は出せませんが、多くの運用で盛岡駅で「はやぶさ号」と連結し、東京まで時速320kmでかっ飛ばすことになります。

京急逗子線:金沢八景駅 – 神武寺駅

続いて紹介するのは、首都圏の私鉄、京急逗子線の金沢八景–神武寺駅の2駅間。最も左の線路が「三線軌条」になっており、新幹線以外では珍しく標準軌である京急の車両が標準軌を使います。では狭軌はと言うと、この近くには鉄道の車両工場があり、そこで製造された京急以外の狭軌の車両(JRなど)が狭軌であるJR横須賀線まで抜けるのに使われています。

この4か所の中で最も東京に近く、日常の通勤路線では唯一の存在です。このように三線軌条を駅のホームで間近に見ることができます。

京急は鉄道ファンにとても人気の鉄道会社で、様々な特徴を持ち合わせています。ここへ訪れた日はその特徴の1つ、走り出すときに音階を奏でるドレミファインバータと呼ばれている車両に乗ることができました。まあ、実は正確には「ドレミ~」ではないんですけど…。

箱根登山鉄道 鉄道線:箱根湯本駅 – 入生田駅

最後に紹介するのは、同じく神奈川県の箱根登山鉄道。箱根登山鉄道では、箱根湯本-強羅間(標準軌)を走る車両が、小田原-箱根湯本間(狭軌)にある車庫に出入りするために「三線軌条」となっています。

箱根登山鉄道は小田急のグループ企業で、箱根湯本駅まで小田急の車両が乗り入れています。私が乗った車両は「前面展望車」付きの小田急ロマンスカー。新宿から1時間強のわずかな時間ですが、目の前に広がるパノラマビューとリッチな空間にロマンが詰まりまくっています。

残念ながら新型のデビューを機にこの「LSE」と呼ばれる車両は引退してしまいましたが、レトロなデザインがとても懐かしい感じがして好きでした。

また、箱根登山鉄道の一番の見所は、やはり箱根湯本駅から先の日本一の急勾配を誇る登山電車区間でしょう。何度もスイッチバックをして進行方向を変えながら、急なカーブと険しい坂道を登っていく姿は目を離せません。

まとめ

以上、「三線軌条」のある路線4か所すべてを紹介しました!こうやって見ると東日本に固まっているのがよく分かります。

このブログでは、他にも鉄道の面白いスポットや、途中下車して行きたい観光地、青春18きっぷの旅行記などをまとめています。ぜひよかったら他の記事もいろいろと見ていってください!