どうも、てりーぬです!
なかなか行く機会の少ない山陰地方。鳥取・島根と言われて「どっちがどっちだっけ?」と位置関係すら怪しい人も多いんじゃないでしょうか?
そんな辺鄙な場所にこそ、ノスタルジー溢れる魅力的な観光地は隠れているものです。実際に私が山陰を列車で途中下車しながらふらふら旅してきたので、その行程と訪れるべきスポットをまとめました。東から西へ、鳥取→島根→山口ときれいな一方通行のルートです!
寝台特急「サンライズ出雲」
「列車旅」で山陰へ行くなら圧倒的におすすめしたいのが、毎日運行している夜行列車では唯一の存在になってしまった寝台特急「サンライズ出雲」。夜に東京駅を出発して、夜が明けたらもうそこは行ったことのない世界…。
列車の中にはたくさんの個室が用意されていて、そこはまるで動くホテル。空調やコンセント、浴衣やスリッパなど、ビジネスホテルにあるものは大体揃っています。快適な車内で、鉄道の旅情を一晩たっぷりと楽しめます!
車内にはなんとシャワーもあります。車内の自動販売機で300円のシャワーカードを購入すると、6分間お湯が出せます。シャワーカードはすぐに売り切れてしまうので購入はお早めに!
ラウンジで夜景を眺めながら語らうのもいいぞ~(パノラマ合成したらストリートビューみたいになった)
鳥取
サンライズ出雲が山陰で最初に停車する米子駅に着いたら、まずは山陰本線で鳥取駅へ。鳥取県は『名探偵コナン』の作者、青山剛昌の出身地であり、山陰本線の鳥取県内にはコナンがラッピングされた列車が走っていました。
鳥取砂丘
鳥取と言えばやっぱり鳥取砂丘!鳥取駅から路線バスに乗って約20分で目の前はもう大きな大きな砂場が広がっています。でも「ただの砂場」ではありません。実は鳥取砂丘の地形は複雑に入り組んでいて、多種多様な表情を持っているのです。
鳥取砂丘のシンボルともいえる崖のような急斜面「馬の背」は、ぜひとも挑戦してみたいところ。この砂の斜面を登ると手の掴みどころもないし、砂の中に足がずぶずぶに埋まるしで、数多の人々の行方を阻んできました。砂漠の中の「オアシス」のような池に映り込んだ馬の背も絶景です!
馬の背を乗り越えると、目の前には日本海が見えてきます!パラグライダーなどのアクティビティも楽しめるんですよ~。
ラクダの背中にも乗ることができます!本当にここは日本なのか…。
鳥取城
鳥取市内の市街地には、鳥取城の跡地の石垣が幾重にも重なってそびえ立ちます。一番の見どころは「天球丸」と呼ばれる球体の石垣。石だけでこんなに精密な球体を作れることに驚きます。近くで見るとなかなかの迫力!
鳥取城には天守閣などの建造物は残っていませんが、まるで廃墟のような石垣の中をを歩いていくだけでも楽しいはず。二の丸跡からは鳥取市内を一望することができます。
鳥取に来たら、鳥取駅前のすなば珈琲も外せません。鳥取県知事の「スタバはないけど日本一のスナバはある」というセンス溢れる言葉から生まれました。鳥取は日本で唯一スタバがない県でしたが、最近ついにスタバができたことで大ニュースに。すなば珈琲はそんな大ピンチにも負けずに、今でも絶大な人気を誇っています!
境港
次に向かうのは、ゲゲゲの鬼太郎の作者「水木しげる」の生まれ故郷である境港。米子駅と境港駅を結ぶ境港線では早速「鬼太郎列車」が出迎えてくれます。
「鬼太郎列車」は車内まで鬼太郎づくし!至るところから鬼太郎が顔を出していてとてもかわいい~。
水木しげるロード
境港駅と水木しげる記念館とを繋ぐ道は水木しげるロード。私が訪れたときは工事中だったのがちょっと残念ですが、もうそこらじゅうに妖怪が潜んでいるので歩きながら探してみて。
こんなところにも妖怪が。水木しげるロードの両側には妖怪にあやかった様々なお店が軒を連ねており、お買い物も楽しめます。
水木しげるロードを歩き切った先にある「水木しげる記念館」には、水木しげるの数々の作品やエピソードが展示されていました。水木しげるは本当に妖怪が好きだったみたいで、生み出されたたくさんの妖怪を一気に鑑賞することができます。ゲゲゲの鬼太郎だけじゃないんですね!
べた踏み坂
境港からバスで松江へと向かう途中、鳥取県と島根県の県境に架かる「江島大橋」はべた踏み坂という有名なスポット!車のCMで一躍有名になったそうで、車が崖を上っていくように見えるのだとか。確かにすごく高いところまで上ってきました。
特に急な坂道なのは、江島大橋の島根県側。ということで、松江行きのバスの一番後ろの窓から覗き込んでみます!うん、まあ、たしかに崖みたいかな…??
あ、境港では海鮮を食べるのも忘れずに。「境港」という地名の通り港がすぐそこなので、どこのお店へ入っても新鮮な魚を味わうことができます。私が訪れた駅前の回転寿司ですらもう絶品でした~~!
松江
境港の次は、島根県に突入。島根県の県庁所在地であり、山陰随一の都市である松江へ。山陰本線の松江駅には各方面から様々な列車がやって来ます。
松江城
松江へ着いたら、何はともあれ松江城へ。松江駅からは徒歩で30分と少し離れていますが、バスも多数出ているので安心です。松江城は国内で12しかない現存天守の1つで、国宝にも指定されているとても貴重なお城です!
天守閣は元々住むための場所ではないので、中は木の柱や梁が剝き出しのとても無骨で質素な造りとなっています。
お城の周りの街並みも、城下町の雰囲気を感じられるのでおすすめ!北側のお堀では「堀川めぐり」といって、マングローブみたいな堀の中を小さな船で進みます。見てるだけでもとても風流な風景です。
北側の通りは、古い武家屋敷が当時のままの姿で残っている「塩見縄手」という通り。おしゃれなお店もいくつかあるので、休憩したりショッピングしたりするのもいいですね。
玉造温泉
夜は松江市郊外にある玉造温泉へ。ここ玉造温泉はなんと、日本全国の温泉をランク付けする温泉総選挙2016で最高賞を獲得した、とても評価の高い温泉地です!最寄り駅は松江駅の2つとなりの玉造温泉駅ですが、温泉街までは少し距離があるので、各旅館がそれぞれ駅まで迎えに来てくれます。
宿にはおしゃれな「色浴衣」が置いてあるところが多いので、かわいい浴衣を着て温泉街を歩くのもきっと楽しいです。この地で昔から作られている「勾玉」や「因幡の白ウサギ」が色々なところにあしらわれていておしゃれ。きれいな街並みの夜景が最高に映えます!
疲れたら足湯で休憩しましょう。「美人の湯」とも言われる玉造温泉の温泉は、まるで化粧水のようなとろっとろの泉質なのです。もちろん宿のお風呂も最高に気持ちよくて、湯上り後はもうお肌がぷるっぷるになりました。
旅館で過ごす時間も大切にしたいところ。今回宿泊した「白石家」の夕食は、地元の食材がふんだんに使われた懐石料理でした。カニ、しまね和牛、のどぐろなど高級食材のオンパレード!なんて幸せなんだ~~
今のところ私の中の「行ってよかった温泉No.1」は圧倒的に玉造温泉です。「泉質・料理・街並み」のすべてに大満足で、心の底からおすすめしたい!
出雲市
温泉でパワーを補給したら、縁結びの神様を祀る出雲大社へ。松江や玉造温泉から出雲市までは普通列車でも大体40分前後で到着します。出雲市駅からは一畑電車で出雲大社の最寄り駅である出雲大社前駅まで行きましょう。途中の川跡駅で乗り換えが必要で、一斉に3方面の列車が到着するので乗り間違えないように!
出雲大社
出雲大社は、10月になると全国から八百万の神様が集まって来るという超絶パワースポット。島根県以外は神様が留守になるため10月は「神無月」と言いますが、出雲大社のある島根県だけは「神在月」と呼ぶそうです。
真っ先に見えてくるのがこちらの「拝殿」。出雲大社のシンボルとも言える太くて大きなしめ縄が特徴的です。神楽殿にある最も大きい「大注連縄(しめなわ)」は長さ約13m、重さ5.2tにも及び、なんとこの大きさを手作りで作っているのだとか。
建築的要素もたっぷりで、社殿は出雲大社の名を冠した「大社造」という日本最古の神社建築様式で建てられています。屋根の頂上にある「鰹木」と言われる2つのばってんと、バズーカのような3つの「千木」も特徴的ですね。
本殿の裏側には可愛らしい白ウサギがいました。縁結びの神様と言われる「大国主命」が助けたという「因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)」として古事記から語り継がれ、境内には46羽もウサギがいるそうです。
正面の鳥居から真っすぐと続く参道では、ご当地グルメやおしゃれなお土産店など歩いて楽しめます。割子というお皿が重なって出てくるのが特徴的な「出雲そば」は三大そばの1つ。また、ぜんざい発祥の地であると言われる出雲の「出雲ぜんざい」も有名です。
稲佐の浜
出雲大社の周辺にも様々な魅力があります。その1つが、出雲大社の西側の海岸にある稲佐の浜。そう、実は出雲大社って海が近いんです!広い砂浜、青く澄んだ大空の中にぽつんと佇む岩と小さな祠が神々しい。「神在月」になると、神様はまずこの砂浜から上陸するそうです。
ここは神迎えの道という、稲佐の浜に上陸した神様をお迎えする道。何の変哲もない閑散とした住宅街の路地ですが、「神在月」になるとこの一帯が歓迎ムードになるそうです。古い家と細い道、そして青い海と空がノスタルジックで美しい。
仁摩サンドミュージアム
出雲市からさらに西へ行くと、一気にローカル線感が増してきました。山陰本線の普通列車で1時間ほど進み、大田市に位置する「仁万駅」で途中下車してみます。
駅のホームからは早速遠くにとんがりコーンみたいな不思議な建物が見えますが、徒歩10分でたどり着くここは「仁摩サンドミュージアム」。『砂時計』という映画の舞台にもなったことでご存知の方もいるかもしれません。
1番メインの空間にあるのは世界一大きな大きな砂時計。「砂暦」と呼ばれるこの砂時計ははちょうど1年間で砂が落ちるように制御されており、1年に1度上下をひっくり返しているのだとか。全体に広がる青空とドームに注ぎ込む光、そして骨組みと機械仕掛けの砂時計のコントラストが美しい!
「砂博物館」ということで、館内には様々な砂時計が展示されています。様々な体験をしながら、砂について楽しく学べます。大人は入館料700円で、毎週水曜日は定休日なのでお気をつけて!
温泉津温泉
山陰本線・仁万駅のさらに西の温泉津駅にあるのは温泉津(ゆのつ)温泉という理解不能な読み方の温泉。決して知名度は高くありませんが、実は世界遺産なんです!日本最大の銀山である石見銀山とともに世界文化遺産に登録されました。今回は残念ながら石見銀山へは行けませんでしたが、温泉津温泉は駅から徒歩10分くらいで気軽に訪れることができる世界遺産です。
「世界遺産」という堂々たる肩書きとは裏腹に、温泉街はなんともひなびた様子。昔ながらの建物が数多く残っていることから、国の重要伝統的建造物群保存地区、略して「重伝建」にも指定されています。往時の面影をそのままに、時代に取り残されてしまったかのよう。
温泉街を歩いているとぱっと目に入る「薬師湯」という外湯は、全項目が最高評価という素晴らしい泉質で、しかも自然湧出の源泉かけ流しという大変貴重な場所です。浴室は決して広くはなく、ぬめっとした褐色の成分がこびりついた丸い湯舟が1つあるだけのシンプルなものですが、いかにも「湯治に来ました」って感じで悪くない。
ぱっと目を引く特徴的な外観が目印で、夜の街明かりもとても素敵でした。薬師湯のとなりの旧館は大正ロマンの雰囲気たっぷりの木造建築で、ノスタルジックな温泉街の街並みによく溶け込んでいます。旧館は現在はカフェとして営業しているそうです。
今回宿泊したのは、温泉街の入り口付近にある「メグルヤ【廻屋】」というゲストハウス。古民家を改装してゲストハウスとカフェとして営業しており、昔ながらの暮らしが体験できます。建物の基本的な造りは昔のまま変わっていませんが、リノベーションが施された空間はとても綺麗でおしゃれ。ところどころに置いてある雑貨もかわいいですね!
萩
山口県を山陰に含めるかどうかは意見が分かれそうですが、個人的には「中国地方の日本海側は山陰」と言ってもいいんじゃないか、と思っています。ということで、最後に山口県の萩をご紹介。温泉津駅から山陰本線の普通列車で3時間半かけて東萩駅に到着!萩の代表駅はなぜか「萩駅」ではなくて「東萩駅」です。
松陰神社
萩に来たら外せないのが、吉田松陰が祀ってある松陰神社。高杉晋作や伊藤博文など、幕末において数々の偉人を輩出した松下村塾も松陰神社境内にあります。
この小さな小屋が松下村塾です。建物の中はごく普通の民家のような感じ。歴史はこの地から動いたんだなぁ、と考えるとなんだか感慨深いですね。
松陰神社の目と鼻の先には、初代内閣総理大臣として有名な伊藤博文の別邸があります。入場料100円が必要ですが、中はとても綺麗なのでおすすめです。
萩城下町
レンタサイクルで萩市街地を越えて、萩城の城下町エリアに来ました。古くからの建物や町筋がそのまま残り、高杉晋作や木戸孝允ゆかりの地もある歴史薫る街並みです。
お城に近づくと塀と生垣は石垣に変わり、さらに重厚で画一的な雰囲気へと変わります。東西南北に真っすぐに伸びる道によってできた、碁盤の目のような街並みも城下町の特徴ですね。
冬から春にかけては夏みかんが見ごろ(夏とは?)。まちの至るところに鮮やかな夏みかんが実る風景も萩の特徴です。
車窓も楽しんで
ということで、東から西へずっと一筆書きのように列車で旅をしてきました。列車(とたまにバス)で訪れられるだけでも、歴史や自然であふれる場所がこれだけたくさんあります。山陰の素晴らしさがもっと広まるといいな!
それから、ぜひ移動する時間も楽しんでください。山陰本線は海や湖の近くを通るので、車窓から眺める風景は全然飽きません!
最後に、萩からスタートするドライブの記事を紹介して終わります。のんびり列車旅もドライブ旅もどっちも楽しい~!